ロータリエンコーダは、軸の回転を制御装置が読み取れる電気信号に変換するセンサーです。
角度、回転方向、速度、位置を検出し、装置が指令どおりに動いているかを確認するために使われます。
ロータリエンコーダは、回転軸の動きを検出し、コントローラ、サーボドライバ、カウンタ、PLCなどに信号として出力するセンサです。機種や出力方式によって、角度、回転方向、速度、相対位置、絶対位置などを検出できます。
モーション制御では、モータから生じたトルクが負荷を動かします。この時の実際の動作量をエンコーダがフィードバックします。フィードバックが不安定だったり、ノイズの影響を受けたり、取付精度が不安定していたりすると、モータ性能が十分でも装置としての位置決め精度や安定性は得られません。
一言で言うと:エンコーダは、対象の軸が「どこにあるか」「どれだけ動いたか」を上位装置に伝える部品です。動力そのものではなく、実際の動作結果を確認する役割があります。
多くのロータリーエンコーダは、回転軸に取り付けられたディスクやスリット、磁石などから位置変化を検出して回転量を計測します。軸が回転すると、固定されたセンサがその変化を読み取り、電気信号として出力します。この信号の品質は、位置や速度の検出精度、制御の安定性、応答性能に大きく影響します。
発光素子と受光素子、およびパターンディスクを使用して検出します。高分解能や安定した信号品質が求められる用途で広く使用されます。
磁界の変化を読み取って検出します。小型なものが多く、水・油・粉塵・振動にも強いため耐環境性が求められる場合に有用です。
基準位置からの移動量(パルス数)をカウントして現在地を割り出します。電源投入後の計測は0からになるため、ストップウォッチのような仕組みです。
軸の回転角度ごとに固有のコード(絶対番地)を割り当てています。常に今の絶対的な位置を出力できるため、時計のような仕組みです。
インクリメンタルエンコーダは、軸の回転角度に応じてパルスを出力します。上位装置はそのパルスをカウントし、基準点からどれだけ動いたかを算出します。信号処理の特性上速度検出、回転方向の判定、サーボ制御、原点復帰を前提とした装置に適しています。
主なインクリメンタルエンコーダでは、A相、B相、Z相が使用されます。A相とB相は電気的に90度ずれており、この位相差から回転方向を判定します。Z相はインデックス信号とも呼ばれ、通常は1回転に1回の基準パルスを出力するため、原点として使用されることが多いです。
重要なポイント:インクリメンタルエンコーダは、電源投入直後に絶対位置を把握できません。多くの場合、位置制御を開始する前に原点復帰や基準点確認が必要です。
アブソリュートエンコーダは、各位置に固有のデジタル値が割り当てられているため、電源復帰後にゼロからカウントし直さなくても現在位置を確認できます。
アブソリュートエンコーダには、シングルターンとマルチターンがあります。シングルターンは360度以内の絶対位置を検出します。マルチターンは、1回転内の角度に加えて、何回転したかも検出可能です。
アブソリュートエンコーダでは、バイナリコードやグレイコードなどのデジタルコードが使用されます。グレイコードは、隣り合う位置で変化するビットを1つに抑えることで、切り替わり時の読み取り誤差を低減する目的で発明されました。
重要なポイント:アブソリュートエンコーダは、起動直後から現在位置を把握することができる他、非常停止後、停電復帰後などの予期せぬ事態が起きても、位置情報を喪失しません。 読み飛ばしや誤検出の可能性も低いので、超高速回転や装置のタクトタイム短縮にも有効です。
エンコーダを選ぶ時、最初に確認すべきポイントは、装置が相対位置と絶対位置のどちらのフィードバックを必要としているのかです。どちらが優れているというより、装置構成、制御方法、停電後の復帰要件、コストの考え方によって適切な選択が変わります。
| 比較項目 | インクリメンタルエンコーダ | アブソリュートエンコーダ |
|---|---|---|
| 位置基準 | 基準点からの移動量を測定します。電源投入時の軸位置が基準となるため、場合によっては原点復帰が必要です。 | 各出力に個別の位置情報が設定されています。原点復帰を省略、または短縮できる場合があります。 |
| 停電時の挙動 | コントローラ側でバックアップしない限り、位置カウントを失う可能性があります。 | 電源復帰後に現在位置を再取得できます。 |
| 信号出力 | A/B/Z相などのパルス列を出力します。 | 機種により、SSI、BiSS、フィールドバスなどのデジタル位置データを出力します。 |
| システム構成 | 構成が比較的シンプルで、速度検出やパルスカウント用途に使いやすい方式です。 | インターフェースや通信仕様により様々なタイプが存在します。 |
| 代表的な用途 | 速度検出、サーボフィードバック、搬送、簡易回転、動作軸、コストを優先する場合。 | ロボット関節、インデックス軸、高速回転、半導体製造装置、タクトタイムを向上させたい装置。 |
エンコーダ選定は、分解能だけでは決まりません。出力信号がコントローラ、サーボドライバ、カウンタボード、PLC入力と合っていなければ、カウント漏れ、位置決め不安定、通信エラーの原因になります。
| 信号 / 種類 | 制御側で分かること | 代表的な用途 |
|---|---|---|
| A/B/Z相 | A相とB相で移動量と方向を検出します。Z相は1回転に1回の基準パルスです。 | インクリメンタルフィードバック、原点復帰、速度検出、位置カウント。 |
| ラインドライバ | A+/A-、B+/B-、Z+/Z-などの差動信号を使い、ノイズ耐性を高めます。信号の取得にはラインレシーバ機能が必要です | 産業機器、長いケーブル配線、サーボシステム、高速カウント。 |
| オープンコレクタ | 外部プルアップや電圧整合の確認が必要です。供給電圧の自由度が高いです。 | PLC入力、シンプルな制御回路、コストを重視する装置。 |
| SSI / シリアルアブソリュート | エンコーダからコントローラへデジタルの絶対位置データを送信します。 | 絶対位置決め、精密回転軸、電源復帰後の位置確認が必要な装置。 |
技術確認ポイント:出力形式、電圧、ケーブル長、ノイズ環境、最高回転数、コントローラ入力周波数、コネクタ・ピン配列を必ず確認してください。
エンコーダ選定でよくある失敗は、分解能だけで性能を比較してしまうことです。分解能は、1回転をどれだけ細かく分割できるかを示します。
その他にエンコーダの精度を示すものとして、絶対精度と繰り返し精度があります。
絶対精度は、検出された位置が校正された角度にどれだけ近いかを示します。また、繰り返し精度は、同じ条件で同じ位置に戻ったとき、どれだけ同じ値を再現できるかを示します。
分解能を指す言葉として、インクリメンタルエンコーダではPPR、CPR、ライン数などで表現されることがあります。アブソリュートエンコーダではbit数で表現されることが多いです。これらの数字は重要ですが、その他の精度、信号品質、機械的な取付、軸受精度、制御側のカウント性能とは分けて確認する必要があります。
| 用語 | 意味 | 技術的な確認点 |
|---|---|---|
| PPR | Pulses Per Revolutionの略で、主にインクリメンタルエンコーダで使われます。 | 1チャンネルのパルス数なのか、逓倍後のカウント数なのかを確認してください。 |
| CPR | コントローラがエッジをカウントした後のCounts Per Revolutionを指すことがあります。 | 4逓倍の場合、A相・B相の立上りと立下りをカウントする場合があります。 |
| bit数 | アブソリュートエンコーダで使われるデジタル位置の分割数です。 | bit数が高いほど細かい位置データを得られますが、機械精度や信号品質も重要です。 |
| 絶対精度 | 実際の軸位置と、エンコーダが出力する位置との差です。 | 精密軸では、カタログ上の分解能とは別に確認すべき項目です。 |
| 繰り 返し精度 | 同じ位置を再度検出したときの再現性です。 | インデックス、検査、アライメント、計測装置で重要になります。 |
高分解能は、信号が安定し、機械側がその分解能を正しく読み取れること場合に真価を発揮します。カップリングの滑り、軸振れ、ケーブルノイズ、カウント抜けが発生してしまった場合、カタログ上の数値と実際の装置精度に乖離が起こることがあります。
エンコーダの不具合に見える現象でも、実際には配線や取付が原因の場合があります。ケーブル長、アース接続、コネクタ配線、応答周波数、モータ動力線からのノイズ、シールド処理など、フィードバックの安定性に関与する項目は多岐にわたります。
ケーブルが長いほど、ノイズ混入や電圧降下による信号波形の乱れが起きやすくなります。可能な限り、エンコーダケーブルはモータ動力線やインバータ配線から離してください。
差動ラインドライバ信号は、誤カウントが起こりにくいため、長距離配線やノイズ環境で信号を安定して伝送したい場合に有効です。
回転数が上がるほどパルス周波数も上がります。コントローラやカウンタが、その周波数を十分な余裕を持って受けられるか確認が必要です。
芯ずれ、カップリングの負荷、軸振れ、軸受荷重は、エンコーダ寿命やフィードバックの安定性に影響します。取付精度も選定条件の一部です。
最も高分解能なエンコーダが、必ずしも最適なエンコーダとは限りません。
最適なエンコーダとは、制御方式、動作条件・環境、取付スペース、信号インターフェース、希望動作を行うことに適しているものです。
適切なエンコーダは、制御対象、必要分解能、機械構造、信号インターフェース、動作条件・環境によって変わります。
ユーザーによってはコントローラ環境、保守方針、置換時の入手性も含めて確認する必要があります。
MTLのロータリエンコーダは、省スペースで安定したフィードバックと精密な回転検出が求められる装置に適しています。
限られたスペースの中で、確実な位置検出や速度検出を行いたい場合に向いています。
ロータリテーブル、割出軸、スピンドルオリエンテーション(主軸定位置停止機能)、ツールチェンジャー、研削盤、高精度位置決め機構。
ウエハー搬送、ダイソータ、検査ステージ、アライメント軸、θ軸位置決め、省スペースモジュール、位置復帰が重要な機構。
関節角度検出、ロボットハンドの回転、コンパクトアクチュエータ、グリッパ、エンドエフェクタ。
サンプル搬送、小型回転機構、診断装置、検査装置、静音性が求められる精密モーションモジュール。
割出ユニット、コンベヤ、ロータリ搬送機構、小型自動化モジュール、シート・フィルム搬送、速度フィードバック。
角度測定、回転計測、光学検査、精密ステージ、校正装置、テスト治具。
マイクロテック・ラボラトリー株式会社は、精密モーション制御向けの小型ロータリエンコーダを開発しています。3000種類以上の生産実績から出力方式、取付スペース、軸構造、出力インターフェース、必要分解能、最高回転数、使用環境に適した機種をご紹介いたします。
パルスカウント、速度フィードバック、小型モーション制御軸に適しています。
1回転内の絶対角度位置を検出する用途に適しています。
1回転内の角度と回転数の両方の検出が必要な用途に適しています。
ワイヤの引き出し量を利用した直線変位測定が可能です。
デジタルメジャーのようなイメージで水平用途だけでなく昇降の距離測定にも適しています。
エンコーダ選定は、カタログだけで決めるものではありません。
精密装置では、機械レイアウト、制御インターフェース、ケーブル配線、ノイズ環境、復帰動作、必要なモーション精度まで含めて確認する必要があります。
実際に現物を手に取って見る、信号をきちんと受け取れるか試したいなど、エンコーダーメーカーだからこその対応が可能です。