装置の高性能化・多軸化が進むなかで、限られたスペースに複数のモータやセンサを組み込む設計が求められています。
その際に課題となるのが、電源や信号ケーブルの取り回し、配管経路の確保、そして機構全体の省スペース化です。
これらの課題を解決する有効な手段のひとつが、中空構造を持つモータ(中空モータ)です。
モータ中心部に空間を設けることで、ケーブルや配管、光軸などを貫通させることができ、
装置の小型化とレイアウト自由度の向上を同時に実現します。
中空モータは、機構設計の柔軟性を高めるだけでなく、カップリングレス構造による高精度な駆動や、メンテナンス性の向上など、多方面でのメリットをもたらす技術要素として注目されています。
本ページでは、中空モータの概要とメリットについて解説します。
回転軸の中央に貫通穴を設けた構造のモータになります。
通常のモータと同様に回転トルクを発生しつつ、中心部に配線・配管・シャフトなどを通せることが大きな特長です。
この中空構造により、装置内部の機構をシンプルにまとめ、ケーブルの取り回しや可動部の干渉を抑えることができます。
・カメラやセンサーのケーブル、真空チューブ、エア配管などをモータ中心に通すことが可能。
・装置外観をコンパクト化し、可動ケーブルの断線リスクを軽減。
・光学ステージやロボットジョイントなど、中心合わせが重要な機構で回転軸と光軸ツール軸を一致させやすい。
・位置決め精度/剛性を両立。
・モータの内部を有効活用できるため、装置全体の高さ、奥行きを軽減。
・アクチュエータ数の削減にも寄与。
・ケーブルの捩れ、引き回しが不要。
・摩耗部品が少なく、保守性/信頼性に優れる構造です。
・ギアレスで駆動可能なため、バックラッシがなく滑らかで静音。
・高分解能エンコーダと組み合わせることで、微細な位置制御が可能。