モータ内部の空冷設計
空気がある、だけでは冷えない
モータの発熱対策として「空冷」という手法があります。
しかし実際の冷却性能は単に内部に空気が存在すればいいというわけではありません。
重要なのは空気がどこから入り、どこを通り、どこから抜けるか。
空気の流れが設計されているかどうかが重要になります。
モータ内部で発熱するポイント
モータ内部の主な発熱源は、以下の3点です。
- コイル(銅損による)
- マグネット近傍
- ベアリング部
特にコイルは連続運転・高トルク動作時におんどが 上昇しやすく冷却設計の良否が性能や寿命に影響する場合がございます。
図で見るモータ内部の空冷の流れ

空気の入り口
ハウジング側面のタップ部(例:M5タップ部)から冷却用の空気を流入させます。
タップの加工をしてありますのでロータリージョイントやエアチューブを接続することが可能になっています。
熱源近傍を通過
流入した空気の一部はコイルとマグネットの隙間を通過します。
本経路によって空気が熱源のすぐ近くを通り、効率的に熱を奪う構造になっています。
エンコーダ部を経由
空気はその後、エンコーダ部を通過しながら下方へ流れます。
熱を帯びた空気が内部に滞留せず、自然に出口方向へ導かれシャフト・シール間から排出されます。
空冷設計で得られる効果
このように空気の流れを明確に設計することで、単なる自然放熱とは異なる冷却効果が得られます。
特にコイル近傍を直接空気が通過する構造は、モータ内部の温度上昇を抑えるうえで大きな効果を発揮します。
温度上昇が抑えられることで、以下のようなメリットが期待できます。
- 連続定格トルクの向上
- 高負荷運転時の温度マージン確保
- コイル絶縁やベアリング寿命の延長
空冷が有効なアプリケーション例
このような内部空冷構造は、以下のような用途で特に効果を発揮します。
- 連続運転が求められる装置
- 高トルクを維持したままサイズを抑えたい場合
- 装置全体の冷却スペースが限られている構成
外付けファンや大型ヒートシンクに頼らず、モータ内部で効率的に熱を処理できる点は、装置設計の自由度向上にもつながります。
まとめ:空冷は「空気の設計」
空冷は、空気があるだけでは成立しません。
どこから入り、どこを通り、どこから抜けるのか——
空気の流れそのものを設計することが、冷却性能を左右します。
モータの冷却を検討する際には、単なる放熱面積やファンの有無だけでなく、内部構造と空気の流れにもぜひ目を向けてみてください。
