高速位置決め用途でμDDモータが採用された理由とは

デジタルサーボ社の技術コラム にて、μDDモータを用いた高速位置決め試験が紹介されました。
本記事では、その結果から見える「制御性能に優れたモータの条件」について解説します。

高速位置決めで起きる課題

医薬品の製造装置においては、より小型で高精度、かつ安定した制御性能を持つモータが求められます。

しかし、高速位置決め制御を実現する上では、以下のような課題が顕在化します。

・ギアバックラッシによる位置誤差
・停止時の残留振動
・オーバーシュート
・応答遅れ
・繰り返し精度のばらつき

これらの課題は制御パラメータの調整で対応されることが多いですが、実際にはモータの物理特性に起因するケースも少なくありません。

③ 制御に有用なモータの要素

高速位置決めを実現するためには、モータ側に以下のような特性が求められます。

① トルクと電流の高い比例性
電流指令に対して出力トルクが素直に追従することで、制御モデルとの乖離が小さくなり、安定した制御が可能になります。

② モデル変動の小ささ
温度変化や回転速度によって特性が変化しにくいことは、ゲイン調整の再現性や安定性に大きく寄与します。

③ 回転精度の高さ
回転軸精度が高いことでエンコーダ信号のノイズが少なくなり、速度推定(微分値)を高精度に取得することができます。

④ 外乱や振動の少なさ
機械的な振動や外乱が少ないほど、高い制御帯域を確保することが可能となります。

これらの要素は、いずれも「制御器の性能を引き出すための前提条件」と言えます。

μDDモータでの効能

μDDモータは、以下の構造的特徴によりこれらの要素を満たします。

・ギアレス構造
 → バックラッシが存在せず、位置決め精度の向上に寄与

・高剛性構造
 → 振動が抑制され、安定した応答特性を実現

・高精度エンコーダ一体型
 → 取り付け誤差がなく、信号品質が高い

・小型軽量設計
 → 慣性が低減され、高速応答が可能

これらの特性により、結果として制御系との親和性が高く、「制御しやすいモータ」として機能します。

今回の試験結果

今回の試験では、以下の結果が確認されています。

・0.36degのステップを約4msで整定
・定常誤差 ±1パルス以内
・10ms周期の間欠動作に追従
・80kHzの高サンプリング制御で安定動作

これらの結果は、単に制御性能が高いだけでなく、モータ特性が制御系と高い親和性を持っていることを示しています。

今回使用されたモータはMDH-6018シリーズとなっています。
幅 1/1000 [rev]=0.36 [deg]1/1000 [rev]=0.36 [deg]のステップ信号を位置参照値としたステップ試験が行われています。

用途例

本構成は以下のような用途に有効です。

・精密位置決め
・高速間欠動作
・押し当て制御
・医薬・検査装置
・半導体装置

チューニングに時間がかかる」
「制御が安定しない」

といった課題がある場合、制御器だけでなくモータ特性を含めた見直しにより、大きく改善できる可能性があります。

用途や条件に応じた最適なモータ選定についても、お気軽にご相談ください。